社会貢献者表彰を受けて、手記を掲載していただきました。内容を紹介します。

 

九州は男性の家事・育児参加において後進地域でしたし、今も全国的に見てまだまだ後進地域です。37年前、ボランティアで始めた「子育て支援」の理解促進の道のりは想定以上に困難なものでした。「子どもを預けて通院したいが、家族の理解が得られない…」と母親の支援が叶わなず、手遅れで入院することになったり、暴力的な夫に悩む方の家庭に「友人のフリ」をして関わり、公的支援につないだ支援もありました。

私たちの活動の支援者の多くは自身の経験をベースにケースに対応しながらブラッシュアップして、笑顔で日々活動を続けています。活動が楽しいという言葉に私たちが支えられています。

支援者の皆さんは「まひるの星」だなと思います。昼の空にも星は輝いていますが、私たちには見えません。多くの人には見えていないけれど、活動で支えられている人はたくさんいます。支援から時間が経過しても、折にふれ、支援したご家族からお便りがある、という報告をいただきます。また、帰省の時に駅で、偶然昔支えてもらったおばちゃんに会い、荷物が重そうだったからと、かつて支援した子に家まで送ってもらった、とうれしく語る支援者の方もいました。「人は愛されたから愛することができる」数々のエピソードをお聴きしていて、そう思うことができるし、それはとても幸せなことで未来への希望でもあります。

この度の表彰は、この国のさまざまな地域で子育てを地道に支えている、多くの方々の活動への評価だと思い、深く感謝しています。「表彰のニュースを夫に見せて、私たちの活動はこんなに意義あること」と自慢したという支援者の方がいました。子育て支援という言葉は定着しているのでしょうが、中身を知る人は少ないのかもしれません。今回、表彰という形で評価されるということの意義を感謝の気持ちとともに改めて感じたことでした。

そんな支援者のみなさんが活動を継続できるように「ケアする人をケアする」ことにも私たちは近年注力しています。ここ5年ほど、市内で家を借りて「みんなの実家」事業に取り組んでいます。その場所は子育て世代の方々と地域の高齢者の相互支援の場として育くんでいます。できれば近い将来、今の支援者の方々が、活動をしなくなったとしても集える場所になればと願っています。